企画展 仏具の世界 -信仰と美のかたち- 会期:2023年2月18日(土)~2023年3月31日(金) 会場:根津美術館 展示室1・2
■概要
仏を荘厳・供養し、仏道を修めるために必要な道具である仏具。その範囲は、伽藍装飾から僧の生活必需品まで多岐にわたります。仏具には、仏道実践に適した形が与えられていますが、その中に美的な特質を見出すこともできます。この展覧会では、主に館蔵品から、さまざまな場面で用いられる仏具を紹介し、仏の教えと仏具の造形美の関わりを探ります。 根津美術館のコレクションの礎を築いた初代根津嘉一郎(1860 ~ 1940)は、仏教で世の中を善導するという大きな理想を描き、無宗派の寺院建立を構想しました。このため仏教美術に対する関心も高く、コレクション中には仏教に関わる書蹟や絵画、彫刻の優品のみならず、工芸にも優れた作例を見出すことができます。これまで当館では仏教絵画・彫刻を多く取り上げてまいりましたが、仏教工芸にもご注目いただきたく、このたび仏具に焦点を当てた展覧会を企画しました。 第1 章では、用途を切り口に四つのカテゴリーを設け、具現化させた仏の世界を厳かに飾るための荘厳具、仏に香・華・灯をささげるための供養具、質素ながらも真理に到達するために必要な僧具に加え、密教法具を紹介します。第2 章では、女性によって発願・供養された仏具を特集します。長く美しい毛髪や、繊細な刺繍が施された小袖といった女性ならではの持ち物を用いてつくられたそれらの仏具には、善美を尽くす布施の心が表されています。 この展覧会を通じて、仏具の造形美を手掛かりに、古代より仏道を実践してきた人々の心に思いをはせていただければ幸いです。 重要美術品 宝相華銀平文袈裟箱 1合 木胎漆塗 日本・平安時代 12 世紀 根津美術館蔵 総体を黒漆塗りとした箱で当館には袈裟箱として伝来する。文様の形に切り抜いた銀の薄板を器表に貼り、漆で塗りこめた後、文様部分の漆のみを剥ぎ取る、今日では平脱と呼ばれる技法で装飾されている。宝相華文をモチーフとした対称性の強い構図は、前時代の奈良朝の雰囲気をとどめる。 金剛五鈷鈴 1個 青銅 日本・鎌倉時代 13~14 世紀 根津美術館蔵 柄に五つのきっさき(鈷)を持つ金剛鈴。鈷の下に位置する把には、3枚の蓮の花びらを重ねた蓮弁飾とその間に鬼目と呼ばれる突起があらわされている。金剛鈴は密教法具の一つで、その音により人が本来備えている仏性を呼び覚ます。 ■同時開催 展示室5 ◎西田コレクション受贈記念I IMARI 当館顧問・西田宏子より陶磁器など工芸品169 件を受贈。その中の優品を3 回に分けてお披露目するシリーズ、第1 回は肥前国有田の伊万里焼です。 色絵紋章文大皿 肥前 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵 西田宏子寄贈 展示室6 ◎花どきの茶 花どきとは、花の盛りの時季、とりわけ桜の花が咲く春の一時をさします。麗らかな春の訪れを楽しむ季節の茶道具約20 件を取り合わせます。 貫之集切 伝 藤原行成筆 1 幅 紙本墨書 日本・平安時代 11 世紀 根津美術館蔵 紀貫之の家集『貫之集』の11 世紀に遡る冊子本の断簡。春のひととき、親しい人々が集まり、桜を題として詠んだ和歌が書かれている。 ■会期:2023年2月18日(土)~2023年3月31日(金) ■休館日: 毎週月曜日 ■開館時間: 午前10時~午後5時(入館はいずれも閉館30分前まで) ■入場料: オンライン日時指定予約・一般1300円/学生1000円 *障害者手帳提示者および同伴者は200円引き、中学生以下は無料
▼▼詳細は、根津美術館ホームページへ▼▼ https://www.nezu-muse.or.jp