企画展 蔵出し蒔絵コレクション 会期: 2022年9月10日(土)~10月16日(日)
■概要
蒔絵とは、漆で文様を描いて、その漆が硬化しないうちに金や銀の金属粉を蒔き付けて装飾する技法です。正倉院宝物の中にその源流と考えられる作例があり、平安時代以降は日本で独自に発達して現在に至っています。漆黒の器表をあやなす金色のグラデーションの眩い世界は、人々を魅了し続けています。 初代 根津嘉一郎(1860 ~ 1940)がコレクターとして一躍脚光を浴びるきっかけになったのは、蒔絵作品の購入です。足利義政、松花堂昭乗が愛用したと伝えられる名品「花白河蒔絵硯箱」をかねがね手に入れたいと思っていた嘉一郎は、明治39 年(1906)11 月、大阪の豪商・平瀬家の売立にかけられた同作を当時としては破格の高値で落札、世間を驚かせます。その後も購入は続きますが、特に晩年、当館の蒔絵コレクションを代表する優品の数々を手中におさめています。 本展覧会は、嘉一郎が蒐集した蒔絵作品の粋をまとめて紹介する初めての機会となります。蒔絵史において重要な作品を数多く含むとともに、文房具、仏具、香道具、飲食器、装身具などバラエティに富んでいることが特色です。これらの用途ごとの展示に技法の豆知識を交えながら、おなじみのものから初公開の作品まで、重要文化財4 件を含む約70件で蒔絵の豊かな世界をお楽しみください。 ■展示室1 ・2 ◎室町時代の蒔絵技術の到達点を示す名作で、室町幕府八代将軍・足利義政遺愛の硯箱としても名高い。蓋の表裏に散らされた文字と図様から、主題となる和歌を読み解く理知的な構成も秀逸である。 重要文化財 春日蒔絵硯箱 日本・室町時代 15世紀 根津美術館蔵 ◎画家・抱一と蒔絵の名工・羊遊斎とのコラボレーション。 購買層が拡大した大都市江戸において、二人は櫛や盃といった小品の制作にも積極的に参画、人気を博した。 雪月花三社蒔絵朱盃 原羊遊斎作・酒井抱一下絵 日本・江戸時代 19世紀 根津美術館蔵 ■同時開催 展示室6 ◎清秋の一服 空気が清らかに澄み、空が晴れ渡った秋の日にいただく一服の茶。季節の茶道具約20 件の取り合わせで、さわやかな秋の訪れをお楽しみください。 粟鶉図(部分) 土佐光成筆 日本・江戸時代 17~18世紀 根津美術館蔵 垂れ下がった粟穂の下で、振り返る一羽の鶉。粟と鶉の組み合わせは、古来、和歌に詠われ、秋の風情をあらわす景物として好まれている。 ■会期: 2022年9月10日(土)- 10月16日(日) ■休館日: 毎週月曜日 ただし9月19日(月・祝)、10月10日(月・祝)は開館、9月20日(火)、10月11日(火)休館。 ■開館時間: 午前10時~午後5時(入館はいずれも閉館30分前まで) ■入場料: オンライン日時指定予約 一般1300円 学生1000円 ※障害者手帳提示者および同伴者は200円引き、中学生以下は無料
▼▼詳細は、根津美術館ホームページへ▼▼ https://www.nezu-muse.or.jp