企画展 よめないけど、いいね! -根津美術館の書の名品- 会期: 2022年7月16日(土)~8月21日(日)
■概要 書の名品といわれても昔の人の字は読めないから苦手だ、何が書いてあるのかわからないからつまらないなどと、書をテーマとする展覧会が敬遠されがちなのは事実です。「日本の文字だから、読めなければいけないのに自分は読めない」という後ろめたさがあるからでしょうか。もちろん、書かれた内容を正しく理解するには読むことが必須ですが、それはひとまず活字本にゆずりましょう。 たとえ読めなくても、一文字ひともじの形の美しさや、つづけ文字の線が奏でるリズム、また、紙の装飾と書かれた文字とのハーモニーなど、肉筆の書そのものの魅力に触れることは可能なのです。昔のひとであっても、皆がすらすら読めたわけではありません。たとえば、近世初期の茶の湯の世界では、高僧の希少な墨蹟を尊重する一方で、茶室の床の寸法に合わせてそれを切断してしまうということさえ行われていたのですから。 根津美術館所蔵の書の名品を軸に構成した今回の展覧会は、先人たちによって時代を超えて伝えられてきた書の見どころをわかりやすくご紹介することを目指しました。「よめないけど、いいね!」と実感していただけたなら、そしてその体験が、書の作品をさらに深く鑑賞するためのひとつのきっかけとなったら、これにすぎる喜びはありません。 ▼まさか切り取られているとは! さすが高僧の書は格調が高い。が、江戸時代の記録との照合によれば、当初の冒頭5 行と小字部分の1 行目が切りつめられている。茶の湯の掛物とするために切断再構成されたのである。はなから読むことを放棄しているのだ。 重要文化財 無学祖元墨蹟 附衣偈断簡 日本・鎌倉時代 弘安3年(1280) 根津美術館蔵 ▼よめないけど、スピード感が気持ちいい 金銀の絵の具で華麗な下絵を描いた料紙の上を、ためらいもなく動く筆のスピード感が魅力である。筆者の藤原定信は当時20 代半ば、のちに42 歳から23 年かけて計5000 巻以上の「一切経」をひとりで写すという偉業をなし遂げた。 石山切 (貫之集下断簡)藤原定信筆 日本・平安時代 12世紀 根津美術館蔵 小林中氏寄贈 ■同時開催 ◎展示室6 暑中の涼 ―夏の茶道具取り合わせ― 真夏の茶会は、道具で涼しさを演出することで、心地よい空間を作り出します。暑中の涼となる季節の茶道具約30 件をお楽しみください。 絵高麗梅鉢文茶碗 磁州窯系 中国・明時代 16世紀~17世紀 根津美術館蔵 夏に好まれる絵高麗の平茶碗2 碗を重ねたもの。絵高麗は朝鮮半島製とみなされたことによる呼称であるが、現在は中国で生産されたと考えられている。 ■会期: 2022年7月16日(土)~8月21日(日) ■休館日: 毎週月曜日 ただし7月18日(月・祝)は開館、翌19日(火)休館。 ■開館時間: 午前10時~午後5時(入館はいずれも閉館30分前まで) ■入場料: オンライン日時指定予約 一般1300円 学生1000円 ※障害者手帳提示者および同伴者は200円引き、中学生以下は無料
▼▼詳細は、根津美術館ホームページへ▼▼ https://www.nezu-muse.or.jp