企画展「遊びの美」 根津美術館 2022-12-13 UP

企画展
遊びの美

会期:2022年12月17日(土)~2023年2月5日(日)
会場:根津美術館 展示室1・2


■概要

 「遊び」と聞いて、どのようなイメージが浮かぶでしょうか。子供の頃に熱中した遊び、あるいは休日のレジャーやスポーツかもしれません。しかし、歴史に目を向けてみると、遊びは単なる遊楽ではなく、必要な教養を高めることであり、求められる技芸を磨くことでもありました。
 平安時代の公家の遊びの―つに歌合があげられます。左右に分かれて和歌を詠み、その優劣を競うものですが、そもそも彼らにとって歌を詠むことはコミュニケーションの重要な手段であり、必須の教養でもありました。また、同じく平安時代に盛んになった蹴鞠は、貴人たちが屋外で楽しんだまさにスポーツですが、やがて鞠道として形式が整えられるとともに、それを専門とする家も生まれました。一方、乗馬や弓矢の技術を競う犬追物や狩猟などの武家の遊びには、武芸の鍛錬という側面がありました。さらに江戸時代になると、太平の世を背景に庶民の経済力や行動範囲が拡大するのにともない、祭礼や社寺参詣が娯楽や観光を兼ねるようになります。それらは、共同体の結束を強め、見聞を広めることに寄与したことでしょう。遊びは、人が楽しみながら、社会の中でより良く生きる術を身に着ける手段であり、日々の暮らしに潤いを与え、生きるうえで欠かすことのできない存在なのです。 本展では文化としての遊びの諸相を、館蔵の絵画や古筆、なかでも屏風を中心にご紹介します。新春を迎えるにふさわしい、華やかな金屏風の競演もあわせてお楽しみください。



重要美術品 桜下蹴鞠図屏風(右隻)日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵

鹿革の鞠を蹴り、回数や姿勢の美しさを競う蹴鞠は、公家が屋外で楽しんだ代表的な遊び。
飛鳥井流などの流派が形成されるほど、蹴鞠の技は高められた。本作品は満開の桜の木の下、邸前の庭で行われる蹴鞠の様子を描く。画面中央の上方に描かれた鞠に競技者の視線が集中する。



源氏物語画帖 第十七帖「絵合」伝 土佐光起筆 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵

宮中での絵の論評の流行を受け、藤壺中宮が女房らを光源氏の後援する梅壺女御と権中納言の娘である弘徽殿女御の二手に分けて行わせた絵合。この絵合も歌合と同様、ものの優劣を競う「物合」の一種である。

■同時開催
展示室5
◎山水
日本や中国の山水画で重要視されたのは、理想的な自然の情景を描くことでした。多彩な表現で描かれた、山水画の優品をご紹介します。

展示室6
◎除夜釜―新年を迎える―
大晦日には年末の挨拶を兼ね、除夜釜が開かれます。忙しい年の瀬にふさわしく、亭主は一服の茶でさらりと客をもてなします。


茶杓 銘 大晦日 共筒 江岑宗左作 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵

表千家四代の江岑宗左(1613~ 72)による茶杓。江岑は、千利休の孫にあたる宗旦の三男で、その跡を継ぎ、紀州徳川家の茶頭をつとめた。

■会期:2022年12月17日(土)~2023年2月5日(日)
■休館日: 毎週月曜日 ただし1月9日(月・祝)は開館、翌10日(火)休館
※年末年始12月26日(月)から1月4日(水)まで休館
■開館時間: 午前10時~午後5時(入館はいずれも閉館30分前まで)
■入場料: オンライン日時指定予約・一般1300円/学生1000円
*障害者手帳提示者および同伴者は200円引き、中学生以下は無料

▼▼詳細は、根津美術館ホームページへ▼▼
https://www.nezu-muse.or.jp

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