
河善 河合知己さん(以下、河合):黒樂茶碗、惺入ですか?
玉鳳堂 山田高久さん(以下、山田):はい、樂家13代惺入の作です。
河合:銘はありますか?
山田:これは即中斎で『山呼万歳声(山呼ぶ万歳の声)』昭和16年から20年、恐らく戦争の時期に出来たものだと思います。
河合:胴の辺りに少し白いところがありますね。
山田:釉の掛け具合で、ちょうど白い所だけ釉が掛かっていません。
河合:土見せの様になっているということでしょうか?
山田:意図的なのかは定かではありませんが、景色になる様に敢えてに掛けなかったんだと思います。

河合:「万歳」これから戦争に行く人たちのために…
山田:この時代は世の中がそうだったんでしょうね。
河合:そうかもしれませんね、遠州流の11代小堀宗明宗匠も「万歳」を掛物や銘で沢山使っています。
山田:12代小堀宗慶宗匠もシベリアにずっと抑留されてましたからね。
茶碗の高台の廻りが、きちんと釉が掛からないように土見せにしています。

河合:樂茶碗は土見せが割りと多いんでしょうか?
山田:種類によりますが、総釉よりも土見せにした方が、高台内に代々の特徴があり、それによって良し悪しが分かります。
河合:高台の中央部が突出してます。兜巾(ときん)が立っているのでしょうか?
山田:そうですね…高台を土見せにしたので、少し目立つ様に兜巾を立てたのだと思います。惺入の特徴は、やや薄作が多いです。樂茶碗は轆轤を使わず手捏ねと箆で形成されているので、独特の味わいがあり一つ一つ表情が違います。
河合:濃茶も薄茶もどちらでも大丈夫でしょうか?
山田:どちらでもお使いいただけます。
河合:「万歳」だから新春などのお祝いに良いですね。
山田:商品についての詳細は下記URLをご覧ください。また、ご質問などあればお気軽にお問合せください。
▼惺入作 黒樂茶碗
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