壽泉堂 美術 訪問記 2022-05-04 UP

港区虎ノ門 神谷町の交差点から桜田通りを東京タワー方面に50メートルほど歩き、三本目の路地を右に曲がり、仙石山の坂道を登ります。二本目の路地を右に曲がり、少し坂を登った左側の仙石山アートハウス1Fに壽泉堂 美術があります。
 壽泉堂 美術のご主人である樫本昌大氏は、金沢の美術商 樫本金陽洞の次男として生まれ、昭和58年に18歳で上京し、虎ノ門の玉林尚古堂で8年間の修行を経て独立。平成9年に壽泉堂二代目久世加寿子氏の次女と結婚し、壽泉堂の美術部門を引き継ぎました。
壽泉堂 美術 主人 樫本昌大

★壽泉堂の歴史について教えてください。

 私の義祖父にあたる壽泉堂の初代 中川清壽は、富山の呉服屋の次男として生まれました。そのため家業は継がずに上京し、上野の書画屋「清辰(せいたつ)」に丁稚として修行に入り、独立後は湯島で書画屋として「壽泉堂」を開業しました。その後、現在の虎ノ門に店を移しました。祖父は、スバル自動車の前身である中島飛行機の中島知久平や鉱山王の久原房之助、ホテルオークラの大倉喜七郎など、当時の財界人と親交があったようです。昭和55年に祖父が亡くなり、私の義母である久世加寿子(旧姓:中川)が二代目として後を継ぎました。義母は学生時代から 、近所の大橋茶寮さんで 先代の大橋宗輝先生より裏千家茶道の教えを受け、その後独自のお茶の世界を楽しみながら、自宅茶室で度々茶会を催しました。また、裏千家 好日会、東茶会、富山の富美茶会、山形の鈍翁茶会、小堀遠州顕彰会の御自影供養天神茶会など 各地で懸釜させていただき、平成28年には東京美術倶楽部で 創業100周年記念の茶会を催しました。



★壽泉堂 美術の取り扱いと美術商としてのモットーについて教えてください。

 茶道具を主に扱います。お客様はお茶の道具をご縁で求められて、ご自分の趣向で釜を掛けられる方が殆どでしょうから、値段に関わらず色々な茶道具をおすすめできるようにオークションや交換会で自分の目に叶うものは何でも求める様にしております。
 まずはお茶を楽しんでもらう事が一番だと考えておりますので、歌舞伎で言えば「黒子」としてお客様のお道具の相談に乗り、しっかり水屋でサポートをする様に心がけております。


★ネットを使った茶道具の販売についてどのようにお考えでしょうか。

 インターネットを通してお客様に情報を提供できる時代になりました。我々が選定した茶道具をオープンにお客様にご覧いただく機会になるので非常に良いことだと思います。展示会も良いとは思いますがスマホでこそこそと探して目当ての物が見つかれば、それはそれでご納得していただけると思います(笑)。人それぞれで多様化しておりますので、今までのやり方は勿論、新しいやり方も積極的に取り入れてお客様のお役に立てればと思っております。

★本日はありがとうございました。最後に、ギャラリーの向いにあるお茶室を拝見いたしました。露地は打水で清められ、から降り注ぐ光が石畳を照らし美しく輝く。茶室に入ればコンクリートの建屋とは思えない数寄屋の空間が広がっていました。

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