茶道具賞玩『冷泉為村茶杓 銘 音羽』 2023-02-01 UP

写真:那須屋 野口明嗣さん



河善 河合知己さん(以下、河合):冷泉為村の茶杓は珍しいね。しかも名前を平仮名で書いています。名前のところに何か書いてあるなぁ…

古角商店 古角博治さん(以下、古角):「所望によりため村」と書いてありますね。
 

河合:定家の流れだから、小堀遠州の歌の先生でもあった冷泉為満、冷泉為頼、その後の人が冷泉為村。

齋藤紫紅洞 齋藤琢磨さん(以下、齋藤):定家の流れということは遠州風の櫂先の立ち上がりでしょうかね?

河合:遠州の茶杓は二重撓めです。これはどうかなぁ…

那須屋 野口明嗣さん(以下、野口):この茶杓は二重撓めではない様です。
 

古角:櫂先(かいさき)は力強いけど素直な茶杓だね。順樋だけど蟻腰は少ない。

壽泉堂美術 樫本昌大さん(以下、樫本):癖が無い、スッキリした茶杓。

河合:何かの折に取合せで上手くやると良いですね。

古角:京都清水寺で霊水が流れる音羽の滝は三つあり、「延命長寿」「恋愛成就」「学業成就」のご利益があるので、それに因んだ趣向で取り合わせると良いですね。

野口:東京だと護国寺が音羽と呼ばれています。桂昌院と親しかった女中の「音羽」という人物にこの地が与えられたため「音羽町」と名付けられたそうです。地名に因んで護国寺で釜を懸ける時にも良いでしょう。
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▼冷泉為村茶杓 銘 音羽
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