座談会『守屋松亭作 蒔絵硯箱』  2024-01-01 UP



河善 河合知己さん(以下、河合):
馬越恭平の息子の幸次郎さんが、父親の追善の時に作らせた硯箱で、文様は馬越恭平が持っていた松花堂と遠州の画賛の掛軸がもとになっています。添っている石黒況翁の極めによると、馬越恭平が病床で入院しているときも、床の間に飾っていた掛軸、それぐらい愛玩していたと。この掛軸の面白いところは、落款の「昭乗」に、遠州が「大・有・宗・甫」と四方に書いています。このような落款は他にありません。





古角商店 古角博治さん(以下、古角):
合作の落款になっているんですね。どのくらいの数を作ったんだろうね。

河合:私はこの硯を何個か扱ったことがあります。守屋松亭が昭和10年に作ったもので48歳の作品です。

壽泉堂美術 樫本昌大さん(以下、樫本):守屋松亭は戦後も居たのかな?

河合:戦後、昭和47年に亡くなっています。

那須屋 野口明嗣さん(以下、野口):上野の渡辺漆店に行く途中に、よく家のお店に寄っていたそうです。作品を作るときはいつも三つくらい作っていたと伺っています。

樫本:色んな数寄者さんが松亭に作品を作らせました。益田鈍翁、堀越宗円…

野口:そうですね。堀越宗円さんは、パトロンとして沢山松亭に作品作らせていました。



樫本:蓋の裏はどうなっているのかなぁ~四君子でしょうか…

河合:蓋裏の蒔絵は菊、桔梗、松、桜、笹。身のほうは、楓、藤です。

古角:季節に関わらず飾れるね。

齋藤紫紅洞 斎藤琢磨さん:松亭は研ぎ出し蒔絵の名人 白山松哉の弟子です。

河合:歌は「直ぐならむと 弥(いよいよ)思竹たにも 世に連れられて かく乃ごとし」。竹って本当は真っすぐじゃないですか、でも世の中の荒波で曲がってしまっている。真っすぐになりたい…そういう心情を表した歌です。
 今は遠州流のお家元がこの掛軸を所有していて、先日の京都遠州忌でこの掛軸が使われました。今年は馬越恭平没後90年ということで、5月の東茶会に続き、京都遠州忌や法隆寺金堂焼損壁画保存活用支援茶会でも馬越恭平所縁の道具が使われています。
※本記事は令和5年に収録されたものです。



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