
銀座美術 森田大揮さん

銀座美術 森田大揮さん(以下、森田):今回は江戸琳派のものを持ってきました。
河善 河合知己さん(以下、河合):栗山善四郎、八百善旧蔵。
壽泉堂美術 樫本昌大さん(以下、樫本):落ち札 昭和5年で323円。
河合:八百善の物を扱ったことがあるけど、同じような札だったな~。

森田:添光庵蔵と書いてあるものもありますね。
古角商店 古角博治さん(以下、古角):頭が剥げていたから「添光庵」。呼ばれていたのは八代目ですね。



一同:裂はどう?
森田:表具はハッキリとは分からないのですが、上下が着物の裂なので八百善の好みに近いと思います。
古角:かもしれないね、添光庵はこんな表具が好きだから…。
河合:中廻しは?
森田:蝶々と、上が藤ですかね。
樫本:桐でもないし藤ですね。
古角:帯を崩したかな~。
森田:そうですね、帯のようですね。八百善は濃い青だったり、目を引くような表具が多い印象です。
樫本:紫は、昔から天皇やお公家さんだとか位の高い人が使う色だったと聞いています。そういったお姫様のところに元々あった着物かもしれません。
一同:なるほど。

古角:これは羽子板だから、一月から三月まで使えますね。旧暦でやれば4月も使えます(笑)。
森田:桃の絵もありますし、羽子板には綺麗な白梅紅梅の図柄もあるので、十分に使えると思います。
樫本:桃だけだと梅と桜に挟まれて使える時季が限られますが、これは良いですね。最近は日本画の人でも琳派系の絵を描く人が少なくなりました。
河合:八百善の最後の弟子が柏屋さんでしたね。
玉鳳堂 山田高久さん:柏屋さん、懐かしい~。
河合:柏屋女将の村田さんの鳥弁当。美味しかったですね!でも後継ぎがいなかったんですよね。
古角:確かご主人が八百善の弟子で、ご主人が亡くなられて女将さんがやるようになりましたね。
河合:私は女将さんの時代しかしらないです。
古角:柏屋さんは日々庵で良く使っていたから、鮟鱇鍋を食べに何回か行ったことがあります。
樫本:これからの時期は鮟鱇鍋は良いですね。※座談会は11月初旬に収録
河合:私も築地で何回か食べたことあります。
古角:狭い四畳半で、浅い鍋なんだけど凄く大きい鍋だったな~。
河合:赤だしが美味しかった。女将さんに赤だしどうやって作るんですか?と尋ねると、「大した事してないわよ~、ま・ご・こ・ろ・よ~!」って言ってました(笑)。
古角:確か田山方南先生がお店を出すように言ったんだよ。そうそう、自宅だったから宴会すると女将さんが部屋が空くまで寝られないからずっと待っていて(笑)本来は仕出し屋さんだから、下が厨房だけなんだよ。
樫本:柏屋さんのお店では基本的に料理は出さないですね。大橋茶寮さんみたいに、部屋があって料理を食べられるようにはなってないんですね。
古角:そうそう、柏屋さんで食べようと思うと鮟鱇鍋しかなかった。八百善は私の通っていた小学校の下にあったので、お姉さんが私の同級生で弟さんが十代目。
齋藤紫紅洞 齋藤琢磨さん:鎌倉の方にお店があるとか…。
森田:今年の夏に磯子へ移転したそうです。
樫本:十代目の方は現在もお料理屋さんをされているんですか?
森田:先日、昭和女子大学の依田先生の講演の時に、十一代目の方がいらっしゃっていました。
古角:最初に私が知ったときには、銀座一番館の隣の地下で菊亭八百善の女将さんがお好み焼き屋をやっていたところで、八百善がお店を出しました。その後、両国の江戸東京博物館に移られて、更に新宿の高島屋に移られました。その後、伊豆に行って鎌倉に行ったとこまで知っています。一時、郁恵ちゃんの料理番組にも出てました。
樫本:古角さん、東京美術倶楽部青年会の茶道部で八百善で懐石の勉強会をやったの覚えてますか?
古角:あ~やったね!!思い出した!!私が青年会現役の時だったね、全然忘れてたよ~。
樫本:かれこれ30年以上前ですね…(笑)八百善さんから柏屋さんの話になって、料理屋さんの話が主になってしまいましたね(笑)。
森田:商品についての詳細は下記URLをご覧ください。また、ご質問などあればお気軽にお問合せください。
▼鈴木其一筆 桃に羽子板図 八百善旧蔵 出品:銀座美術
https://cha-no-bi.com/articles/view/486
▼座談会前半『回帰と展望』|茶の美一周年記念特別企画
https://cha-no-bi.com/posts/view/92